第6回FP講座「生命保険と医療保険-加入のポイント」
(制作:安平町 監修:ファイナンシャル・プランナー星 洋子氏)
万が一のための備えとしてまず社会保障があります。
健康保険制度では、かかる医療費の一部負担や、高額療養費制度があります。会社員などは病気やけがで働けず給料が出ない時などには傷病手当金があります。
また年金制度では、病気やけがなどで生活や仕事が制限される状態になった場合、障害年金があります。
さらに社会保障では不足する分を預貯金などで備えます。しかしまとまったお金を準備するには時間がかかります。そこで民間会社の生命保険や医療保険を上手に活用します。
保険料を払うことで、契約者(被保険者)の万が一の時にすぐに保険金を受け取ることができます。
ただし払ったからといって必ず保険金がもらえるわけではありません。もらえるのは「万が一」の時です。 また、あれもこれもとたくさんの保険に加入すると保険料の支払いがたいへんになります。
契約する前に保険に加入する目的をしっかりと決めて、どの保険が一番必要なのか優先順位をつけましょう。
遺族基礎年金額(令和2年度)
※子の加算額 2人目まで・・各224,900円 3人目以降・・各75,000円
遺族厚生年金 「老齢厚生年金の報酬比例部分(※)の3/4」※ねんきん定期便である程度の金額の確認ができます。
遺族基礎年金、遺族厚生年金ともに保険料納付要件など、受給するための要件があります。詳細は下記をご参照ください。※日本年金機構「遺族年金ガイド」
https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/LK03-3.pdf
遺族基礎年金は家族構成により計算できるのですが、遺族厚生年金は年金の加入期間と加入期間中の給料などの額によって計算します。
あくまで概算ですが例えば、夫40歳(会社員、厚生年金18年加入、平均標準報酬30万円)、妻40歳(専業主婦)、子8歳の場合
遺族基礎年金は約101万円(781,700円+224,900円)
遺族厚生年金は約50万円(加入が300月未満の場合300月で計算)
合計で約150万円。月額にすると約12.5万円です。
遺族厚生年金からは、子が18歳になり遺族基礎年金がもらえなくなっても妻は40歳以降65歳になるまで「中高齢寡婦加算」586,300円(令和2年度)があります。さらに勤めていた会社の退職金や弔慰金があるかもしれません。夫がずっと自営業者だった場合は、遺族基礎年金のみになりますので上記の例では約101万円。月額8.4万円ですからこの年金だけで生活するのは難しいでしょう。
万が一の時には遺族年金を受け取り、さらに配偶者が働き収入を確保することになると思います。それでも生活費や子どもの教育費には足りない、といった場合に生命保険が役に立ちます。
単体で加入するタイプ、前述の生命保険に特約で加入するタイプがあります。
一般的に一番お金のかかるのが子どもの教育費です。今は幼児教育の無償化や公立・私立の高等学校も授業料の減免制度がありますが、大学などへの進学費用もトータルすると一人当たり1,000万円以上の教育費がかかると言われています。
ただし教育費については子どもの人数や年齢で金額を設定します。まだ子どもが小さいときは教育費を多く見積もることになりますが、成長とともに準備する教育費は減っていきます。
ちなみに進学資金を備える「こども保険・学資保険」もあります。主に進学時期を満期とする貯蓄性の保険で、契約者が死亡しても契約が継続されます。死亡後は保険料が免除され満期時に保険金を受け取れます。
次に住宅費です。住宅ローン契約時に団体信用生命保険に加入した場合はこちらから住宅ローンが相殺されますので死亡保障に含める必要はありませんが、加入していない場合は住宅ローン残高を参考に死亡保障に含めます。また賃貸の場合は家族の今後の家賃負担分を含めます。
入院時の備えである医療保険は、一般的には入院しないと給付金がおりませんが、入院日数はどんどん短期化されています。
病気によっては長期入院を余儀なくされる場合でも高額療養費制度により自己負担には限度額があります。
一方で健康保険の対象にならない入院時の食事代や差額ベッド代(患者希望の場合)、雑費、先進医療の技術料などは自己負担です。また自営業者は傷病手当金がないので入院時の所得減少リスクがあります。これらのリスクに対して預貯金で備えていない場合は医療保険で備えると良いでしょう。
ちなみに医療保険とは種類が違いますが、働けなくなった場合に保険金がおりる就業不能保険や所得補償保険もあります。
必要保障額は時の経過や家族構成の変化などで変わります。家族が増えた、減った、マイホームを購入した、子どもが独立したなど、いったん生命保険に加入した後も見直しをすることで、適正な必要保障額を確保できます。
医療保険は契約者がどこを備えたいのか考えるとよいでしょう。入院時の出費に備えたいのか、所得減少リスクなのか、がんに対して厚く備えたいのかは人それぞれです。
保険の加入と同時に、少額からでも貯蓄を始めましょう。貯蓄は何にでも使える万能の保険です。
万が一のための備えとしてまず社会保障があります。
健康保険制度では、かかる医療費の一部負担や、高額療養費制度があります。会社員などは病気やけがで働けず給料が出ない時などには傷病手当金があります。
また年金制度では、病気やけがなどで生活や仕事が制限される状態になった場合、障害年金があります。
さらに社会保障では不足する分を預貯金などで備えます。しかしまとまったお金を準備するには時間がかかります。そこで民間会社の生命保険や医療保険を上手に活用します。
保険料を払うことで、契約者(被保険者)の万が一の時にすぐに保険金を受け取ることができます。
ただし払ったからといって必ず保険金がもらえるわけではありません。もらえるのは「万が一」の時です。 また、あれもこれもとたくさんの保険に加入すると保険料の支払いがたいへんになります。
契約する前に保険に加入する目的をしっかりと決めて、どの保険が一番必要なのか優先順位をつけましょう。
保険加入の優先順位は家族構成と働き方で異なる
一番お金が必要な「万が一」は世帯主の死亡です。収入を担っている世帯主が死亡したら、残された家族は生活費に困ります。一方で独身世帯は、仕送りしている家族がいるなどの場合を除いて本人が死亡しても生活費に困る家族はおりません。親族の負担にならないように葬儀費用の備えくらいでしょう。
働き方とは社会保険の加入状況のことです。会社員の健康保険には傷病手当金がありますが、自営業者などが加入する国民健康保険には傷病手当金がありません。また年金には遺族年金があり、年金の加入状況により「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の両方、もしくはいずれかになります。
遺族基礎年金
遺族基礎年金は、子(※)のある配偶者または子(※)が受け取れます。※死亡当時、18歳未満(1級、2級の障害のある場合は20歳未満)。婚姻していないこと。遺族基礎年金額(令和2年度)
子のある配偶者 | 787,100円+子の加算額(※) |
---|---|
子が受け取る場合 | 787,100円+2人目以降の子の加算額 |
遺族厚生年金
遺族厚生年金は、厚生年金の加入者、または加入していた場合、生計を維持されていた遺族が受け取れます。 前述の遺族基礎年金は「子」がいないと受給できませんが、遺族厚生年金は「子」がいなくても受け取れます。(年齢要件があります)遺族厚生年金 「老齢厚生年金の報酬比例部分(※)の3/4」※ねんきん定期便である程度の金額の確認ができます。
遺族基礎年金、遺族厚生年金ともに保険料納付要件など、受給するための要件があります。詳細は下記をご参照ください。※日本年金機構「遺族年金ガイド」
https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/LK03-3.pdf
遺族基礎年金は家族構成により計算できるのですが、遺族厚生年金は年金の加入期間と加入期間中の給料などの額によって計算します。
あくまで概算ですが例えば、夫40歳(会社員、厚生年金18年加入、平均標準報酬30万円)、妻40歳(専業主婦)、子8歳の場合
遺族基礎年金は約101万円(781,700円+224,900円)
遺族厚生年金は約50万円(加入が300月未満の場合300月で計算)
合計で約150万円。月額にすると約12.5万円です。
遺族厚生年金からは、子が18歳になり遺族基礎年金がもらえなくなっても妻は40歳以降65歳になるまで「中高齢寡婦加算」586,300円(令和2年度)があります。さらに勤めていた会社の退職金や弔慰金があるかもしれません。夫がずっと自営業者だった場合は、遺族基礎年金のみになりますので上記の例では約101万円。月額8.4万円ですからこの年金だけで生活するのは難しいでしょう。
万が一の時には遺族年金を受け取り、さらに配偶者が働き収入を確保することになると思います。それでも生活費や子どもの教育費には足りない、といった場合に生命保険が役に立ちます。
死亡に備える保険
世帯主の死亡リスクに備えるのが「死亡保障(保険金)」を受け取る生命保険です。主に3つのタイプがあり保険料の高い順に並べます。終身保険
死亡するまで一生涯の死亡保障が付きます。貯蓄性の高い(解約返戻金がある)タイプなので保険料も高くなります。定期保険
ある一定期間の死亡保障を契約します。保険料は掛け捨てのため安くなりますが、更新により保険料が上がる更新タイプもあります。収入保障保険
定期保険の一種ですが死亡保障を主に年金形式で受け取るタイプのため受け取る総額が年々減ります。年金を一括で受け取ることもできますが年金総額を下回ります。定期保険より保険料が安くなります。病気やけがに備える保険
病気やけがで入院をして医療費がたくさんかかったとか、入院により収入がないなどのときに備えるのが医療保険です。単体で加入するタイプ、前述の生命保険に特約で加入するタイプがあります。
医療保険
入院した時の入院給付金や手術したときの手術給付金などがあります。がん保険
がんによる入院・手術・通院時などに給付金がおります。がんと診断されたときにおりる診断給付金タイプもあります。必要保障額の考え方
死亡保障が確保できる生命保険に加入するには、まず死亡保障がいつ、いくら必要なのか検討します。一般的に一番お金のかかるのが子どもの教育費です。今は幼児教育の無償化や公立・私立の高等学校も授業料の減免制度がありますが、大学などへの進学費用もトータルすると一人当たり1,000万円以上の教育費がかかると言われています。
ただし教育費については子どもの人数や年齢で金額を設定します。まだ子どもが小さいときは教育費を多く見積もることになりますが、成長とともに準備する教育費は減っていきます。
ちなみに進学資金を備える「こども保険・学資保険」もあります。主に進学時期を満期とする貯蓄性の保険で、契約者が死亡しても契約が継続されます。死亡後は保険料が免除され満期時に保険金を受け取れます。
次に住宅費です。住宅ローン契約時に団体信用生命保険に加入した場合はこちらから住宅ローンが相殺されますので死亡保障に含める必要はありませんが、加入していない場合は住宅ローン残高を参考に死亡保障に含めます。また賃貸の場合は家族の今後の家賃負担分を含めます。
入院時の備えである医療保険は、一般的には入院しないと給付金がおりませんが、入院日数はどんどん短期化されています。
病気によっては長期入院を余儀なくされる場合でも高額療養費制度により自己負担には限度額があります。
一方で健康保険の対象にならない入院時の食事代や差額ベッド代(患者希望の場合)、雑費、先進医療の技術料などは自己負担です。また自営業者は傷病手当金がないので入院時の所得減少リスクがあります。これらのリスクに対して預貯金で備えていない場合は医療保険で備えると良いでしょう。
ちなみに医療保険とは種類が違いますが、働けなくなった場合に保険金がおりる就業不能保険や所得補償保険もあります。
生命保険と医療保険-加入のポイントのまとめ
社会保障や預貯金で不足する分を民間の生命保険で備えます。我が家は万が一の時に「いつ、いくら」必要なのかを検討しましょう。必要保障額は時の経過や家族構成の変化などで変わります。家族が増えた、減った、マイホームを購入した、子どもが独立したなど、いったん生命保険に加入した後も見直しをすることで、適正な必要保障額を確保できます。
医療保険は契約者がどこを備えたいのか考えるとよいでしょう。入院時の出費に備えたいのか、所得減少リスクなのか、がんに対して厚く備えたいのかは人それぞれです。
保険の加入と同時に、少額からでも貯蓄を始めましょう。貯蓄は何にでも使える万能の保険です。