第10回FP講座「マイカーは買うか、借りるか、シェアするか」

(制作:安平町 監修:ファイナンシャル・プランナー星 洋子氏)

 マイカーは生活時の移動手段としてとても便利なアイテムです。しかし車両本体は高額ですし、保有期間中もいろいろなコストがかかりますから家計に大きな負担となります。
 できる限りお得な方法で購入したいものですが、最近は購入だけではなく「借りる」などの選択肢が増えてきました。一人ひとりの価値観や生活スタイルに合った方法を見つけると良いでしょう。




 

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借りるか、シェアするか

 昔からリースで車を借りる方法はありましたが、どちらかという法人契約が一般的でした。しかし最近は個人向けのカーリースが充実しています。さらにカーシェアリングもあります。
 

「個人向けカーリース・レンタカー・カーシェアリングの仕組み」

種類 カーリース レンタカー カーシェアリング
契約期間 年単位 時間や日数 使用時間(15分単位など)
費用の
支払い方
定額(月払いなど) 利用の都度 月払いなど(会費+超過分、距離分など)
費用の
内訳
 
車両本体、諸費用(税金や車検費用、手数料) 利用料金(ガソリンは満タンで返却) 利用料金(ガソリン代が含まれることが多い)
車種選択 だいたい自由 自由 限定される
乗車・返却場所 自宅(駐車場) レンタカー会社(乗り捨て可能もある) 借りた場所(ステーションなど)に返却

 会員同士で車を共有するのがカーシェアリングです。会員登録をして利用したいときにインターネットなどで簡単に予約できます。15分単位の予約ができるので、週1回の買い物とか、月1回の病院に通院するときなど、短時間の利用に適しています。
 レンタカーは目的に合わせてその期間だけ車を利用したい人などに向いています。例えばマイカーは通勤用のコンパクトカーだけど、キャンプに行くので大きい車を借りたい、親戚が来るので大人数用の車が必要などピンポイントで希望の車種を選べます。
 レンタカーと同じ借りる契約でも購入の形に近い自由度が期待できるのがカーリース契約です。カーリースとはリース会社が購入した車両を利用したい人が契約期間中、定額のリース料を払いながら借りる仕組みです。
 かかる費用の総額は利用時間によって異なるので比較はできませんが、使い勝手を比較してみましょう。
 カーシェアリングとレンタカーは利用する毎に予約が必要ですし、利用時と返却時に決められた場所まで行く必要があります。一方でカーリースの契約後はマイカーのように自宅からいつでも自由に利用できます。
 つまり週に1、2度程度とか、年に何度か利用するなら、カーシェアリングやレンタカーが適していますが、毎日使うなど利用頻度が高い場合、購入もしくはカーリースかの選択になるでしょう。
 

買うか、借りるか

 購入する場合とカーリースの違いの一つは、お金の出ていく時期が違うことです。それぞれ注意点もあります。

種類 現金で購入 ローンで購入 カーリース
車両代 購入時 分割(月払いなど) 月払いなど
諸費用 その都度 その都度 月払いに含む
注意点 初期費用が多額 ローン手数料が
かかる
原則、中途解約できない

マイカー保有時の諸費用(維持費)は思っている以上にかかります。大きな出費が購入時の各種税金(自動車税、重量税など)や各手数料。毎年の自動車税や2年に一度(新車は3年)の車検費用などです。他に任意保険料や、タイヤ交換などのメンテナンス費用も予算する必要があります。
現金やローンで購入した場合、この諸費用をその都度出費することになりますが、カーリース契約では、諸費用を含めて定額の月払いですから車にかかるお金の予算を立てやすいと言えます。(メンテナンス費用を含める場合はメンテナンスリース契約になります)

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※上記の図は車の保有期間中の出費時期をイメージしたものです

 

とはいえカーリースは諸費用も含めての月払いですし、諸費用にはカーリース会社の利益分(手数料など)も含まれるので、購入よりお得になるわけではありません。
またローンで購入する場合は2~4%くらいの金利(分割手数料)を負担します。支払額を抑えるためになるべく頭金を準備しましょう。
 

カーリース契約の注意点

  カーリースなら頭金や初期費用などを準備する必要がなく、保有中の費用もコミコミ(任意保険はオプションが多い)なので、資金面のハードルは購入するよりも下がります。

 一方で注意点もあります。一つ目は中途解約についてです。契約期間は1年~7年(取り扱い会社によって違う)などから選びますが、この契約期間でリース月額を計算するので、何かの事情での期間途中の解約には違約金などがかかります。

 例えば家族が増えた(減った)ので車種を変更したい、海外に転勤になり車が不要になった、免許返納で車を手放したいなどが解約の理由になることが多いでしょう。

 カーリースを選択するときには、契約期間中の自分や家族の状況をある程度予測して契約することが重要です。

車の「サブスクリプション」を取り扱っている会社もあります。定額払いなので基本的にはカーリースと同じ仕組みですが、会社によっては海外転勤や免許返納時は違約金がかからないなど、独自のサービスやオプションを取り入れてカーリースとは差別化しています。
 
 注意点の二つ目は、契約期間終了後についてです。一般的なカーリース契約では契約終了時は、車を返却、再リース、そのまま購入(中古車の場合、無償もある)のいずれかを選択します。

 返却時に最初の残価設定額より査定額が下がった場合、清算金が発生します。例えば契約走行距離の上限額を超えた、キズをつけてしまったなどで査定額が下がります。査定額=下取り価額のイメージです。

「カーリース総額の計算の概要」
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上記の注意点をカバーするために各取り扱い会社ではさまざまな形の契約やオプションを用意しています。その分、月々の支払も増えますので利用者がどこをカバーしたいのかがポイントです。
 

マイカーは買うか、借りるか、シェアするかのまとめ

 マイカーの購入動機には「所有したい」もあります。筆者も数年前の買い替え時にサブスク契約を検討しましたが、結局は購入しました。所有欲と同時に、同じ車に長く乗りたい、諸費用のやりくりには経験値があるなどが理由です。

しかし初期費用のお金が準備できない人、マイカー費用を固定化したい人、定期的に新車や違った車種に乗りかえたい人などは、カーリースやサブスク契約も選択肢です。

いろいろな手数料の負担を避けたい場合は現金一括払いが一番お得となりますが、最終的なお得感は、かかる費用の総額で比較するのか、費用の定額化にこだわるのか、それぞれの価値観で決まると思います。

保有時のコストを下げるためのポイントの一つは「安全運転」です。無事故で翌年以降の任意保険料を下げることができます。また日々の手入れや点検を心がけることで車のメンテナンスに余計なお金をかけなくて済みます。
 

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