(文・辻原保健師)
今回は身近で衝撃的な出来事にあわれた方に起こることがある反応や行動について書きます。
9月の地震から約4か月。はじめは電気もつかず、水も出なく何度も来る余震に不安が募るばかりでした。少し落ち着いたといわれる今でも家のことや、これからかかるお金のこと、また地震がきたら…など先の見えない不安が続いていると思います。
次の内容は、突然の出来事への自然で正常な反応です。生活が安定していく中で少しずつ回復していきます。
心の動きについて
出来事
突然の出来事を飲み込めず、実感がわかず、混乱している時期です。自然なストレス反応です。
1週間
反応が激しく出ることがあります。
・体調不良や不眠などの身体面での反応
・抑うつ、イライラ、悲しみ、不安などの感情面での反応
・注意散漫、退行、ケンカなどの行動面での反応
2~3週間
この間に適切な対応ができれば大半の反応は収束していきます。
1か月
回復に時間がかかっている方やこの時期になって初めて反応が出る方もいます。
2~3か月
少しずつ安定してきます。ショックの大きさにより、事実や気持ちを受け止めるのにかなりの時間を要する場合もあります。
ストレス反応の内容について
体に起こること
・眠れない、熟睡できない・夢見が悪い・過呼吸・体がだるい・やる気が出ない・いつもぼんやりしている・疲れやすい・集中力が落ちる・息苦しさ・食欲がない・落ち着かない・忘れやすくなる
行動に起こること
・今まで普通にできていたことが難しくなる・周りの人が信じられなくなる・人と会うのを避ける・思い出すのを避ける
心に起こること
・悲しい気持ちになる・不安でたまらない・「なぜ?」「どうして?」と絶えず自問してしまう・落ち着かない・自分は何もできなかったという自責感・いらいらする・1人でいるのが怖い・感情が不安定になる・感情を感じなくなる
子どもに見られやすい反応や行動について
・夜泣き・寝つきが悪い・夜に途中で目が覚める・赤ちゃん返り・出来事に関する遊び(今回の場合は地震ごっこなど)
このような反応は本人なりの回復方法なので、叱ったり笑ったりせず見守りましょう。本人が安心できることが大切なので、話を聞いたりスキンシップを取ることも効果的です。
ほっと一息
人前で何かを発表したり、ストレスや不安があるときは、体の交感神経がよく働いています。反対に副交感神経がよく働いているときは疲労回復や寝つきがよくなったり、リラックスしている時です。うまく切り替わるのがよいのですが、ストレス状態では副交感神経に切り替わりにくくなります。
忙しく仕事をしている方などはよく体が動きストレス状態に気づきにくい場合もありますので要注意です。意識してリラックスすることがとても大切です。
ほっとできる時間を大切に過ごしてくださいね。
それでも・・・
3か月を過ぎて不安が強くなったり、眠れなさが続いたりすることがあります。大変つらい時間を過ごしていると思います。1人、家族で抱え込まず、ご相談ください。専門スタッフによる心の相談などもあります。
震災からの復興にはまだ時間がかかるかもしれませんが、家族、友人、ご近所など皆さんで一緒にがんばっていきましょう。