(文・野村保健師)
安平町地域包括早来相談センター(住民生活課内)保健師の野村です。主に、65歳以上の方に関わる分野や早来庁舎で健康福祉に関する手続きなどを行っています。
蕎麦とスキーの町、十勝管内新得町からやってきて今年で12年。仕事や子どもを通じてたくさんの方と知り合うことができ、スポーツや家庭菜園など楽しんで暮らしています。
今回は、だれでもなる可能性のある「認知症」です。
"物忘れ"は認知症?
「最近物忘れが多いけど、認知症かしら?」、「母が財布がない、と毎日探し物をしていますが、認知症ですか?」と、このような質問を受けることがあります。
認知症と加齢による物忘れには次のような違いがあります。
認知症 | 加齢による物忘れ |
---|---|
体験の全部を忘れる | 体験の一部を忘れる |
買い物に行ったことを忘れて、また買いに行く | 買い物に行ったときに買うものを忘れる |
食事したことを忘れる | 食事のおかずを忘れる |
ヒントがあっても思い出せない | ヒントで思い出すことができる |
上の表のとおり、認知症の特徴は「体験の全部を忘れてしまう」ため、ご家族の方はとても不安になることと思います。
認知症とは、色々な原因で脳の細胞が死んだり働きが悪くなることで、様々な障がいが起こり、生活に支障が出ている状態をいいます。
国内では現在、65歳以上で15%、90歳以上では50%以上が認知症といわれ、全国推計では500万人以上。高齢化の現代、身近な方がいつなってもおかしくないといえます。
物忘れの印象が強い認知症ですが、興味や関心が減る、怒りっぽくなる、料理の味が変わるなど、物忘れ以外の症状が出る場合もあるので、周囲や自分でさえ分かりづらい時もあります。
そのため、認知症について知り、気になったら早期に受診することが大切です。
早期受診の良いところ
もしかして、と気づいても早期に受診される方はまだ少数。症状への不安や病院への抵抗感などあるかと思いますが、診断には専門病院が欠かせません。
受診ではMRIなどの画像検査、記憶等に関する心理検査に加え、認知症に似た症状が出る病気が隠れていることもあるので、身体の病気ではないことを確認します。
認知症と診断されても、昔より薬の種類も増え、早期ほど進行を遅らせる事が期待できます。また、本人や周囲が理解を深めれば、サービス利用やリハビリ、生活上の工夫で、大きく変わらない生活が送れる可能性があります。
認知症を予防しよう
認知症予防は大きく二つに分かれます
①脳血管の健康を保つ(血圧、脂質、血糖のコントロール、野菜中心の食事や運動)
②脳を活発に働かせる(脳を意識的に使いましょう!)
・何品か同時に調理
・市販の数字や漢字パズル
・思い出し買い物(メモはポケットにしまい、レジの前であっているか確認)
・予定をたてた順序で用事を足す
いつでもご相談を
役場では、地域包括支援センターで認知症に関するご相談のほか、認知症サポーター養成講座や地域ネットワーク会議など、認知症の予防から認知症でも安心して生活を送る事が出来る町づくりに取り組んでいます。お気軽にご相談ください。