(文・寺井保健師)
広報あびら6月号・7月号で「地域包括支援センター」について紹介しました。地域包括支援センターでは介護認定やサービス利用に関することなどさまざまな相談・支援をお子練っていますが、その中でも多い「認知症」についてお話します。
認知症とは
一度正常に発達した知的機能が持続的に低下し、日常生活に支障を来している状態をいいます。よく知られている症状に「物忘れ」がありますが、年齢を重ねることによる物忘れには下表のような違いがあります。
加齢による物忘れ | 認知症による物忘れ | |
---|---|---|
体験したこと | 一部を忘れる 例) 朝ご飯のメニュー |
すべてを忘れる 例) 朝ご飯を食べたこと |
探し物 | 「物をしまった場所」という一部を忘れるため、自分で努力して見つけようとする。 | 「物をしまったこと」自体を忘れるため、誰かに盗られたのではないかと被害的に感じることがある。 |
認知症の症状
認知症には様々なタイプがあり症状も多様ですが、一部の例をご紹介します。
計画を立てて行動できない、物事を並行して行えない(実行機能障害)
- 同じものをいくつも買う
- 買い物の支払いで小銭をいくつ出せば良いかわからず、いつもお札で払う
- 料理の手順がわからなくなる
場所や時間・季節がわからなくなる(見当識障害)
- 普段知っている場所で迷う
- 自宅にいても家に帰ろうとしたり、既に退職した仕事に行こうとする
その場の状況が認識できなくなる(感情表現の変化)
- 些細なことで泣いたり興奮する
- 不機嫌になる、ふさぎこむ
これらの症状により、今までできていたことがうまくできなくなり、自信をなくしたり、物事を面倒に感じ、閉じこもりやすくなります。そうして周囲との交流が減ると、さらに症状が進行していきます。
安平町の現状
平成26年度安平町の要介護認定者518人のうち、認知症の方は83人、道に迷う・買い物や金銭管理にミスが目立つなどの状況を示す「日常生活自立度がⅡa以上」の方は280人おり、合計で8割を占めています。安平町においても、認知症はいまや身近になっています。
認知症を予防するには
認知症の予防、または進行をゆるやかにするためには、日々の生活が重要です。
生活習慣を整えましょう
脳の血流が途絶えて起こる「脳血管型認知症」は、高血圧や糖尿病・高脂血症等が大きな要因です。運動が少なくなりやすい冬に向けて、今一度日々の食生活や運動習慣を見直してみるのはいかがでしょうか?
周囲との交流や楽しみをみつけましょう
地域での集まりや趣味活動に参加し、交流することで脳に刺激を与え活性化することが大切です。
町では「足腰しゃんしゃん教室」という運動教室を通年で行い、健康運動指導士や地域の方と一緒に楽しく体を動かしています。
年度途中での参加でも大歓迎ですので、興味のある方はぜひご連絡ください。
専門医に相談しましょう
認知症のタイプによっては、薬で進行をゆるやかにすることができる場合があります。
自分や周りの方で物忘れなど気になる事がある時は、お気軽にご相談ください。必要な方には専門医に受診するまでのお手伝いをします。
ご相談ください
地域包括支援センターでは、住み慣れた地域で長く生活を続けられるよう支援を行っています。日々の生活で困ったことがあれば、よりよい方法について一緒に考えていきますのでご相談ください。