(文・野村保健師)
今回は、認知症について最近の話題と、簡単な認知法チェック方法、安平町の体制についてご紹介します。
認知症の急速な増加
「認知症」という言葉をいまや知らない人はいないほど。ニュースや雑誌でも日々取り上げられています。
国の予想では、2025年には認知症の方は700万人、前段階の軽度認知障がいの方が600万人。合わせると65歳以上の3人に1人の割合で10年間で1.5倍の増加が予想されており、自分や身近な人が認知症を抱える可能性は十分大きいといえます。
認知症は病名ではなく、様々な原因で脳細胞が死んだり、働きが悪くなり生活に支障が出ている状態を言います。一番多い原因は「アルツハイマー型認知症」で以前は認知症の5割と言われていましたが、最近では7割近くを占めています。
早期に受診・対応を
現時点では「こうすれば認知症にならない」方法はありません。しかし、「どうすれば認知症になりづらいか」「どうすれば進行を遅らせられるか」のための治療や、脳を鍛える方法の研究が急速に進んでいます。
強い物忘れや徘徊などの印象がある認知症ですが、軽度のうちに適切な対応や治療を開始することで、進行を食い止め、少々物忘れがあってもご自宅で過ごすことは十分可能となってきました。
「少し変だな」と思った時が行動を始めるタイミング
下記のチェックをご家族皆さんでやってみましょう。自分では気づけないことも多いですし、ご家族やご友人の立場から本人に伝えるのは難しい場合が多いです。お一人で考えこまず、ぜひご相談ください。
認知症の初期症状の可能性があるかどうかをご自分や家族で簡単に確認できます。
質問項目 | ほとんどない | ときどきある | 頻繁にある |
---|---|---|---|
同じ話を無意識の内に繰り返す | 0点 | 1点 | 2点 |
知っている人の名前が思い出せない | 0点 | 1点 | 2点 |
物のしまい場所を忘れる | 0点 | 1点 | 2点 |
漢字を忘れる | 0点 | 1点 | 2点 |
今しようとしていることを忘れる | 0点 | 1点 | 2点 |
器具の使用説明書を読むのが面倒 | 0点 | 1点 | 2点 |
理由もないのに気がふさぐ | 0点 | 1点 | 2点 |
身だしなみに無関心である | 0点 | 1点 | 2点 |
物(財布など)が見当たらないのを他人のせいにする | 0点 | 1点 | 2点 |
合計 | 点 |
点数の目安 | |
---|---|
0~8点 正常 |
物忘れも老化現象の範囲内。疲労やストレスによる場合もあります。 8点近かったら、気分の違うときに再チェックしましょう。 |
9~13点 要注意 |
家族に再チェックしてもらったり、数ヶ月単位で間隔を置いて再チェックを。 認知症予防策を生活に取り入れてみたらいかがでしょうか。 |
14~20点 要診断 |
認知症の初期症状が出ている可能性があります。家族に再チェックしてもらい、結果が同じならまずは次ページの相談先にご相談ください。 |
町の認知症支援について
認知症を予防し、認知症になっても住み慣れた安平町で自分らしい暮らしを続けていけるよう、専門職を配置しています。
①認知症初期集中支援チーム
医師、保健師、社会福祉士等からなる専門チームがあり、医療・介護サービスを受けていない、または中断している認知症の方が適切な受診やサービスを利用できるよう訪問や相談を行います。
②認知症地域支援推進員
認知症の普及活動や認知症サポーター養成講座の開催、認知症の情報をまとめた「認知症ケアパス(介護保険パンフレット28頁掲載)」を作成しています。認知症サポーターは小学生から大人まで現在412人。施設へのボランティアや、生活の中で認知症の方を理解して関わってくださっています。
安平町ではこれからも、認知症に関する仕組みづくり、支援体制づくりを進めていきます。お気軽にご相談ください。
認知症に関する相談先
安平町地域包括支援センター TEL 25-4555
地域包括早来相談センター TEL 29-7072
在宅介護センターふもんけ(24時間対応) TEL 090-6879-8957
安平の郷(24時間対応) TEL 080-6085-7894