(文・辻原保健師)
今月は、「生活習慣病」の中でも「妊婦さん」に焦点を当ててみましょう。
以前は妊婦さんになると「子供の分まで食べるように」と普段の2倍も食べるように言われていましたが、最近は「体重を増やさないように!」と、妊娠中の糖尿病や高血圧症候群などを予防するための指導を受けていることも多いです。そのせいか、体重をあまり増やさない方も増えているように思います。
胎児期に生活習慣病?
最近は「生活習慣病の胎児期発症説」が注目されています。簡単に説明すると、妊娠中のいろいろな問題が関与して低出生体重児(出生体重が2,500グラム未満)として生まれた子が将来、高血圧、肥満、糖尿病にかかる危険性が高まる、というものです。
子どもの出生体重は減っている!
日本人の平均出生体重は約20年間に200グラム減少し、現在では約3,000グラムとなっています。諸外国では出生体重は増加しているので、先進国の中で出生体重が減少しているのはまれです。安平町においても例外ではなく、出生体重は減少傾向にあります。これは、妊娠する時期の女性のボディマス指数(BMI指数)が18.5以下(やせ)が背景にあるといわれています。
やせていてなぜいけないの?
妊娠前から痩せている方には、摂取エネルギーが少ないこと、米飯や野菜中心とした和食の摂取が少なくなったこと、お菓子を食事の代替にする等の食習慣の変化があります。また、妊娠しても食事量がほとんど変わらない方も増えています。
やせている妊婦さんや、妊娠しても食事量が増えない方の場合、低栄養状態となり、胎児は「少ない栄養でも生きていける」体になって発育します。生まれた後も発育した子宮内と同じ栄養状態が続けば問題ありませんが、栄養豊富な現代では普通に食事をしていてもその体には必要以上の栄養を摂ることとなり肥満につながっていきます。
低出生体重児を予防する!
低出生体重児を予防する特効薬はありません。妊娠中のライフスタイルとして過度の運動を控える、喫煙や間接喫煙をやめる、十分な休憩と府移民をとる、適度な水分補給をする、精神的ストレスを減らすことが大切です。
特に大切なのは妊娠中の体重の増え方。妊娠中の体重は、妊娠期間全体でつじつまを合わせるのではなく、妊娠前期、妊娠後期にしっかりと管理を行うことが大切です。
マタニティヨガはじめました
4月からパパママ教室のときだけだったマタニティヨガを月1回せいこドームで開催することになりました。妊娠4か月から産後4か月まで、妊娠出産にともなうトラブルを緩和したり、安産に向けて準備をしたりするのに役立ちます。ぜひご参加ください。