(文・大塚保健師)
安平町地域包括支援センター(健康福祉課国保・介護グループ)に所属する保健師の大塚です。主に65歳以上の高齢者に関わる分野を担当しています。
私は平成24年4月に入職し、それまでは東京の大学病院で看護師として働いていました。
安平町は初めて住む場所であり、新たな発見と出会う毎日を送っています。訪問先で出会う方やご家族、足腰しゃんしゃん教室等で関わる方には日頃から親切に接していただき、充実した保健師活動ができています。
今回は、高齢者の「転倒」についてお話します。
高齢者に多い転倒場所
私たちが転倒を考えるとき、道路で滑ったり、道路と歩道の段差で踏み外して転ぶというイメージが浮かぶと思います。つまり『転倒=自宅外』という印象を持つ方が多いと思います。
しかし、高齢者の転倒はこのイメージとは少し異なる結果が現れていて、グラフ1を見ると、1年間に約10人に1人が転倒の経験があり、自宅外よりも自宅内での転倒が多いことがわかります。グラフにはありませんが、転倒の経験は加齢とともに増加する結果が出ています。
下段のグラフ2は自宅内で多い転倒場所を表しています。
1位庭、2位以下は居間や玄関、階段となっています。住み慣れた場所でも転倒の危険が高いことがわかります。
高齢者が転倒しやすい理由
転倒した後の後遺症や生活の不便さは誰もが心配することですが、転倒の危険性を心配する方は意外に少ないかもしれません。
高齢者の転倒は、加齢だけが原因ではなく、危険因子があるのです。内的因子はその人が持つ転倒の危険因子を表し、外的因子は住居や障害物といった周りの環境を表しています。表1に示した危険因子は原因の一部ですが、該当する項目が多いほど、転倒の可能性は高くなっていきます。
内的因子 | |
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①加齢 | ⑨筋力低下 |
②脳血管疾患 | ⑩視力低下 |
③骨折 | ⑪視覚障害(白内障・緑内障等) |
④不整脈 | |
⑤睡眠薬の服用 | ⑫聴力定価 |
⑥降圧薬の服用 | ⑬体幹バランス生涯 |
⑦再転倒の不安 | ⑭膝や腰の関節症 |
⑧身体の痛み | ⑮その他 |
外的因子 |
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①1~2cm程度の段差 |
②部屋と部屋の仕切り |
③暗い部屋 |
④フローリングや濡れた床 |
⑤きなれない衣服・履きなれない履物 |
⑥その他 |
転倒を予防するために
人間の身体は20歳代をピークに身体機能が上昇していきますが、その後は加齢に伴い、様々面で機能低下を起こしていきます。
転倒予防を心がけるにあたり、まず自分も転倒する可能性があることを理解しておきましょう。そして、転倒の危険因子をできるだけ多く取り除くことを目指しましょう。
特に外的因子は日頃の工夫で改善しやすく、夜間の移動は部屋を明るくするだけでも転倒の可能性を抑えられます。
転倒予防に向けた安平町の取組み
現在、安平町では転倒予防、体力づくり、筋力の維持・向上を目的に「足腰しゃんしゃん教室」を実施しています。当教室は、追分と早来の2地区で開催しており、65歳から92歳まで幅広い年齢の方が参加しています。
教室は椅子に座りながら行う運動を基本に週1回実施しています。参加者の方々にとっては運動目的の他にも、親しい人に会う場所や友人づくりの場にもなっているようです。
気軽に参加できる教室ですので、皆さまの参加をお待ちしています。