(文・野村保健師)
今回は、病気の時に欠かせない「くすり」についてです。
水は飲むためでなく、効きやすくするために飲む
薬を飲むとき、水ひと口で飲み込んでる方はいませんか?
一般的な飲み薬はコップ一杯の水(200mlくらい)で飲むように作られています。少ない量で飲むと、お腹の中で濃くなるイメージがありますが、実際は吸収が進まず効きが悪くなります。水無しで飲むと、時には食道や胃がただれて潰瘍になってしまうこともあります。
また最近は舌下錠、口腔内崩壊錠、貼り薬、自分で注射する薬などさまざまな薬が開発されています。正しい服用方法についてよく知る事が大切です。
薬は生もの、自分のもの
薬には使用期限があります。古くなれば錠剤が溶ける速度が変わったり、変質したり、雑菌が繁殖して逆効果を起こすこともあります。
病院で処方する薬は、指定した期間内で飲むことを前提でお渡ししており、使用期限は確認できないことが多いので、同じ症状の時のために…と保存することは絶対にせず使い切、残りは処分しましょう。
また、「眠れないなら私の睡眠薬あげようか?」などと、薬を人に譲ったりもらったりするのは絶対に危険です。症状が似たように思えても、薬の作用は千差万別で、同じ大きさや名前の薬でも量が倍ということもあります。
お子さんと薬
乳幼児期は嫌がったり吐き出したり、飲ませたい時間に眠っていたりと、決められた回数と量を飲ませるのに苦労することも少なくありません。
スポイト一滴程度の水で粉薬を練り、ほほの内側に塗りつけて水を飲ませる方法や薬によっては子どもの好きなものに混ぜられる薬もあります。ただし、混ぜてはいけないもの、混ぜると逆に苦くなるものもありますので、医師や薬剤師にお子さんの合った薬の形状や飲ませる方法、タイミングなどを十分相談しましょう。そして飲めたら、たくさん褒めてあげてくださいね。
飲み忘れないために
言うまでもなく、自覚症状や効き目の感じ方に関わらず、処方どおり内服し続ける事はとても大切ですが、ある調査では、薬を飲み忘れている人は6割以上、飲まずに捨てられている薬は500億円以上(一人ひと月あたり3,220円)という結果もあります。
お薬カレンダー、専用ケース、薬局での一包化などが一般的ですが、その他にも粉薬の袋に飲む日にちを記入しておく、携帯電話の目覚まし機能で薬の時間に音を鳴らす、スマートフォンをお持ちの方は専用アプリも多彩です。
飲み忘れの状況も治療の大事な情報です。余った薬を持参して次回受診しましょう。
持っていますか?お薬手帳
最近お持ちの方が多いお薬手帳。皆さん、薬局でおまかせにしていたり、病院別に複数もっていたりしませんか?市販尾健康食品や漢方薬、目薬などが病気や薬の作用に影響を与えることもあります。
病院処方の薬はもちろん、市販約や健康食品などご自分が飲んでいるものを記入したり、今までの病歴や健診の履歴を記入したり貼り付けたりし、保険証と一緒に持ち歩きましょう。「健康手帳」としてご活用ください。
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