(文・横尾保健師)
今月号から3回に渡って子どものしつけについてお話します。
子育て中の方にとって、「しつけ」は最も関心の深い、悩ましい問題の一つですよね。そもそも「しつけって何だろう。」と悩んでいる方も少なくないと思います。
そこで今月は、言葉の理解が発達途中である幼児に、どのように伝えれば理解できるのか、どんな工夫や対応が必要なのかをお話ししていこうと思います。
子どもに分かる伝え方
大人は抽象的で曖昧な表現を意外に多用しています。例えば、「ちゃんと座りなさい。」という表現は、どう座れば良いのかを全く伝えていませんよね?
子どもたちは周りの子を見ながら「ちゃんと」しようとしますが、時には失敗してしまい「ちゃんとって言ったでしょ!」と叱られてしまうことがあります。
「ちゃんと」や「しっかり」など、なんとなく伝えていることはありませんか?
子どもに伝える際には、曖昧な表現ではなく具体的に、分かりやすく、何をして欲しいのかを伝える必要があります。この場合は、「手は膝の上に置いて背中をピンと伸ばして座ろうね。」などです。
また、幼稚園ではうまくやれているのに家ではうまくやれないという悩みを抱える方をよく見かけますが、幼稚園では支度や一日の流れが習慣化しているのに対し、家では、その日の状況によって変化するのでわ分かりにくいということが背景にあったりします。
家では、「○○のあとに××をしようね。」など見通しが持てる声かけをすることで、子どもが次に繋がる行動を起こしやすくすることができます。
- ほめる 「えらいね」「頑張ったね」
- 待つ (子どもが話せる状態で)
- 練習 「学校から帰ってきたら何するの?」
- 環境作り(テレビを消して子どもの目をみながら)
- 約束 「次からこうしようね」
- 否定 「テレビを見るなって」
- 怒鳴る 「いつも言ってるでしょ!」
- 嫌味 「いつもこうだったらいいのにねぇ」
- 脅し 「今度したら承知しないよ」
- 罰を与える 「おやつ抜きだからね」
- なじる 「バカじゃないの~」
子どもを総合的に見る
3歳以降になると、幼稚園に入ったり近所にお友達ができたりと、多様な人間関係ができてきます。
家ではわがままが出ても、幼稚園では一生懸命頑張っていることも多く、子どもを総合的に見ることで「 疲れているのかな。」と優しくできたり、臨機応変な対応ができると思います。
食事のマナーや着替えなど生活習慣をしっかり身につけたいと思う時期ですが、完璧を求め過ぎないことも大切です。
子どもには個性がある
子どもは生まれながらの個性があり、発達のペースも違います。つまり、1回で言うことを聞く子もいれば、10回言わないと聞かない子もいます。
これは親の対応が悪いからではなく、子どもの気質や個性によるものが大きいことがあります。また、発達時期による大変さとしてイヤイヤ期があります。
その子の個性に合わせたイヤイヤ期を乗り越えることは、並大抵のことではありません。何かお困りのことがありましたら些細なことでもかま構いませんので気軽に保健師までご連絡ください。