(文・小山保健師)
9月号に引き続き、成人の生活習慣病予防についてお話していきます。
今月は「糖尿病」です。
糖尿病とは
血液中の糖質(ブドウ糖)の数値、いわゆる「血糖値」が高くなる病気です。
食事をすると血糖値は高くなり、運動などにより糖質がエネルギーとして使われると血糖値は低くなります。健康な人の場合、血糖値はすい臓で作られるインスリンホルモンの働きにより血液中の血糖値が一定に保たれるため、食事や運動をしても数値が極端に上昇したり下降することはありません。
しかし、何らかの理由でインスリンホルモンがうまく作用しなくなると糖尿病になります。
糖尿病の原因
なぜ糖尿病になるのでしょうか?糖尿病を引き起こす原因を次のとおりまとめました。
糖尿病になる(インスリンホルモンがうまく作用しない)原因
・遺伝(血縁に糖尿病の人がいる)
・脂肪の多い食事を好む
・肥満(肥満でなくても20代の頃と比較して10kg以上体重増加がある場合も含まれる)
・ストレス
・加齢
血糖値が高いと何が困る?
糖尿病は、進行しないと自覚症状が出ずらい上に、完治しない病気といわれています。
血糖値が高いとき、血管の中でどのようなことが起こっているのでしょうか?
糖質の多いジュースやお酒をテーブルにこぼすとベタベタして手にくっついてしまう。これと同じことが血管の中で起きています。
血液中に多すぎる糖質は、他の物質に付着したり、表1にあるような悪い影響を及ぼします。腎臓の合併症が進行すれば人工透析が必要になる事があります。糖尿病の合併症の他にも心配なものがあるんです。これは、放っておけません。
健診を受けて自分の数値を確認しましょう
血糖値の基準値を表2にまとめましたので、健診を受けたら自分がどの段階なのかを確認しましょう。
そして、血糖値が正常値より高ければ、前述のような「糖尿病になる原因」にあてはまるものがないか振り返ることで、生活習慣を見直す必要が出てくるかもしれません。
早めの対応で糖尿病の発症や重症化を予防しましょう。